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第62話 沈黙という強さ

Auteur: marimo
last update Date de publication: 2026-07-19 20:21:02

「ひかるさん。私、ひかるさんが悪く言われているのを聞くのが嫌です!!」

篠原夕季が目に涙を溜めて、ひかるを見て言った。声は震えていたが、その言葉には迷いがなかった。怒りと悔しさと、そして何より、ひかるを守りたいという真っ直ぐな感情が滲んでいる。

ひかるはちょうど衣装を脱ぎ終え、私服に着替えたところだった。撮影の熱気がまだ肌に残っている。鏡の前で髪を整えながら振り返ると、夕季の真剣な瞳と目が合ってしまった。

逃げ場のない、真正面からの視線だった。

「夕季ちゃん……」

ひかるは小さくその名を呼んだ。

もちろん、ネットニュースの件は知っていた。今朝、マネージャーから淡々と説明を受けたばかりだ。どの記事がどれだけ拡散され、どんな見出しが躍っているのかも、すべて聞いている。

驚きはなかった。

むしろ――来たか、という感覚に近かった。

しかし、ネットニュースに書かれていることは、ほとんど事実だったため、否定も肯定もせず、噂が消えるのを待つ方がいいと思っていた。

ひかるの事務所の方針も同じだった。活動復帰から一線を走り続けている、ひかるに嫉妬した誰かの仕業だろうと分析し、ここで騒げば火に油を注ぐだ
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